41世紀に発掘された現代の痕跡と「止まり木」

見慣れた日用品を “化石(出土品)” へと変え、「2000年後(=41世紀)に発掘された現代社会」を提示してきた美術家の柴川敏之さん。スマートフォン、キューピー人形、玩具、トロフィー、マスク、車椅子など…、私たちの日常にあるモノは、自然災害や人為的な災害によって土の中に埋もれることで、未来の考古学者が出会う「文明の痕跡」へと姿を変えます。その制作の原点には、今から約2000年前に火山の大噴火によって一瞬で都市が埋没したイタリアのポンペイとの出会いがあります。突如消失した文化の痕跡は、いまを生きる私たちの営みもまた、遠い未来から見れば “発掘される存在” であることを静かに示唆しています。

ギャラリー「ゆくり」の20周年という節目にあたり、本企画では中庭のシンボルツリーを2000年後の「41世紀の木」に見立て、その中に様々な未来の化石たちが出現します。それは鳥たちが集う「止まり木」のように、化石化した生き物の玩具たちが「ゆくり」のシンボルツリーの中に生息し、遊びや対話をしながら楽しんでいるかのようです。「ゆくり」もまた、オープン以来「止まり木」をコンセプトに人々が集うギャラリーを目指してきました。樹木は、年輪を重ねながら時間を内側に蓄えていく存在です。その枝に宿る未来の化石たちは、「いま」という時間を標本化するしるし。それは、この場所が積み重ねてきた20年の記憶を未来へと手渡す、小さな “発掘物” でもあります。また屋内では、柴川敏之さんの作品世界をより深く感じていただける関連作品や書籍もご覧いただけます。 

庭と室内、それぞれの空間を行き来しながら、時間と記憶のレイヤーを体験していただけましたら幸いです。過去を見つめることで現在を問い、現在を化石にすることで未来を想像する。本展は、「ゆくり」という場所に刻まれた時間と、これから積み重なる未来とを静かに結びます。

____________________

会期|2026年3月21日(土)〜2027年3月28日(日)
*本展は1年間を通して開催し、企画展や常設展との同時開催となります。
*未発表の企画展や日程変更の場合がございますので、こちらをご確認の上お越 しください。
時間|12:00〜17:00
*変更する場合がございますので、こちらをご確認の上お越しください。
定休|企画展のある期間:月・火 
企画展のない期間:こちらをご確認の上お越しください。
会場|ゆくり
〒701-0164 岡山県岡山市北区撫川173-1  Tel:090-2802-9786
*マップや駐車場については、こちらをご確認ください。
観覧|無料
主催|ゆくり
内容|本展は1年間を通して開催し、少しずつ展示替えを行い、関連企画・イベントなども予定していますので、 ぜひ何度でもお立ち寄りください。詳しくは、このサイトやゆくりのInstagramをご覧ください。

____________________


ゆくり|Yukuri

作家の手仕事の魅力を伝えるギャラリー。名前の「ゆくり」は「ゆかり(縁)」を意味する古語です。人の縁が生まれる場所、そして忙しい日常の中でふと立ち寄り、作品や人との出会いを楽しめる「止まり木」のような場所であれたらと2006年にオープンしました。築100年を超える古民家を生かした展示や企画を行っています。この度は初めての現代ア-トの展示です。柴川さんの展示から、「日常を離れつつも現代の『日常』を考える」場所とお時間をお作りできたら幸いです。

HP
https://yukuri-utsuwa.net
Instagram
instagram.com/utsuwaya_yukuri/

____________________


柴川敏之|SHIBAKAWA Toshiyuki

美術家。1966年大阪府生まれ。広島大学大学院修了。学生時代から自ら絵具を作り被爆建物をモチーフに絵画制作を行う。イタリアのポンペイ遺跡など、突如消失した文化の痕跡に触発され、「2000年後から見た現代社会」をテーマに制作を続ける。ミュージアムをはじめ、歴史的建造物や商店街など、地域や場所にこだわった展覧会やプロジェクトを展開。同時に多様な人々を対象にしたワークショップを行っている。現在、就実大学教授。

HP
toshiyuki-shibakawa.com/
Instagram
instagram.com/planetstudio41

《出現Ⅱ.40220111(2000年後に発掘された折り鶴)》,2022年(Photo: AOCHI Daisuke )
《PLANET WALL》東京ステーションギャラリーでの展示,2012 年(Photo: SUEMASA Mareo)

____________________